保育園の設計は、実際に現場で働く保育士と保育園設計の経験をもつ建築士が一緒に考えました。子どもたちが安全に楽しく、快適な環境の中で成長していけるようにさまざまなこだわりを盛り込んでいます。
吹き抜けの高い天井からは、保育室内に多くの自然光が入り込み、暖かい雰囲気の保育室となっています。
A. 保育室内にある壁
玄関を入り、右手側にお家の形をした可愛いピンクの壁をつくりました。
そこには、四角い窓と入り口があり、時には子どもたちが顔をのぞかせたりします。はぐみ保育園の目指す「暖かい園づくり」子どもたちや保護者の方にとってもう一つのお家をイメージしています。
園内のキッチンカウンターの壁も同じお家の形をしています。お家で食べるご飯のように暖かい雰囲気を感じることができます。
B. 絵本スペース
子どもたちはお気に入りの絵本を保育士と一緒に読んだり、自分で楽しんだりしながら、絵本を通して言葉を覚えていきます。たくさんの言葉を知ることで自分の気持ちを上手に伝えることができるようになり、コミュニケーション能力が育つほか、絵本の世界に入り込むことでイメージが豊かになり、想像力も育っていきます。はぐみ保育園では子どもたちにたくさんの絵本と触れ合ってほしいと考え、絵本をゆっくりと読むことができる場所を作りました。天井を低くした隠れ家のような空間で、子どもたちが落ち着いて絵本の世界に没頭できるように工夫しています。
C. シンボルツリー
保育室の真ん中に立つのはシンボルツリー。描いた絵や作ったもの、お散歩で拾ってきた落ち葉や木の実などを、子どもたちが自分たちで話し合い、好きなものを好きなように飾ることができます。「これはなにを描いたの?」「あのきれいな葉っぱ、どこでみつけてきたの?」と子どもたち同士の会話が広がるきっかけにもなります。
またときには友達とまわりをぐるぐる回って遊ぶ道具になったり、ちょっと疲れたときには寄りかかったり抱き着いたりして安心できる場所となったり・・・。シンボルツリーは子どもたちの園生活のいろいろな場面に寄り添い、成長を見守ります。
D. 調理室
子どもたちが毎日の食事を楽しみにできるよう、調理はすべて自園で行います。ごはんができるまでの調理の音や、美味しそうな匂い、作ってくれている人の温かさを感じられるよう、調理室の中がよく見える大きな窓を設計しています。「おいしそうなにおい!今日のご飯なーに?」と小さい子どもも調理室の中を見ることができたり、大きい子どもは自分たちでごはんの支度ができるよう、低いカウンターも設置しています。自園調理にすることで、子どもたちの遊びや活動内容、その時々の興味に合わせた食事を作ることもできます。「食」の活動を通して食べる楽しさや食材・栄養への興味関心、食べ物を大切にする心を育んでいって欲しいと考えています。
E. 園庭
南側には保育室からすぐに出ることができる小さな園庭があります。ここでは水や砂・泥遊びなど、自園の園庭だからこそ、思いきりできる遊びを楽しむことができます。また、雨の日や公園に行けない日でも、ちょっと外にでて気分転換をしたり、ねんねやハイハイの子どもたちも気軽に日光浴を楽しむことができます。
プランターでの野菜作りでは「大きくなったかなー?」と野菜の成長を楽しみにしながら水やりをしたり、プランターの下に住むダンゴムシ探しに没頭することも。小さいながらも子どもたちがここで自然に触れ、四季折々の変化を楽しめるように工夫しています。
F. トイレ
明るく清潔感のある雰囲気で、子どもたちの成長に合わせて使い分けていけるように乳児用と幼児用の便器、男児用の小便器を設置しました。小さい子でも自らズボンの着脱をしやすいようにベンチを作り、保育士に見守られながら、子どもたちが「自分でやりたい!」と思う気持ちを大切にできるようにしています。また、汗をかく夏場はシャワーができるように、幼児用のシャワーパンを設置しています。
G. 机上遊びスペース
遊びには、大きく体を動かして遊ぶ「動」の遊びと、じっくり落ち着いて遊ぶ「静」の遊びがあります。細かいパズルや指先を使った遊び、しっかり考えながら取り組みたい遊びなど、「誰にも邪魔されず、集中してこれをしたい!」そんなときに夢中になって遊べるよう、壁に向う机を設置しています。もちろん友達と隣同士に並んで遊ぶことも。1日の中で友達と遊ぶ時間もあれば、仲間から少し離れて1人で集中して遊ぶ時間もある。そうして子どもたちの遊びの種類や幅が広がるような工夫をしています。